蘇州だよりNO.2 
朝からドカン ドカン
 
      
H17.6.20                 蘇州日本人学校 多田賢一

 6月に入って、早朝5時に地鳴りのような鈍い音が響いてくるようになりました。「ドカン ドカン」とまるで大砲を撃つような音です。われわれ教員仲間では、「あれは遠くで雷が鳴っているんだ」とか「人民解放軍の軍事演習だ」とか、はたまた、「近くの山で石を切り出すために発破をかけているんだ」といった不確かな情報ばかりが飛び交いました。折を見て、知り合いの中国人に尋ねましたが、聞き方が悪かったのか、それに対する答は返ってきませんでした。   その後も早朝のドカンドカンを聞きながら、悶々と日々過ごしていたところ、妻と知り合いの雑談の中から突然答がもたらされました。あの音は、空に向かって高射砲を撃つ音だと言うのです。何のために、そんな朝早くから、皆起きろとばかりに高射砲を撃つのか気になって尋ねたところ、弾の代わりに、ドライアイスを空に向かって打ち上げているとのこと。何のためにやっているのとさらに尋ねたら、「雨を降らすため、決まっているでしょう。」と言い捨て、妻と知り合いは会話に戻っていきました。

その後も、ドカンドカンは続いていました。日本語のよくわかる中国人の知り合いに詳しく尋ねたところ、やっと納得のいく答が返ってきました。それによると、中国でも穀倉地帯と言われるこの辺りは、高い山がなく雨を降らす雲は、素通りして行くのだそうで、田植えの季節に雨が降らないと大河(揚子江)はあっても、どこも水に困るわけです。今年は、空梅雨のようで、6月に入って雨が降ったのは数回、かくて雨を降らさんとばかりに高射砲が登場したわけです。近くの山の上から、早朝にわいた雲を目がけて、ドライアイス弾を打ち上げ、水蒸気を冷やし雨をもたらそうと言う企ては、山が至る所にあって雨の降りやすい日本と違って、いかにも大陸的で面白いところです。ドカン、ドカン。

(学校の南にある獅子が伏せたような形  (自宅マンションから蘇州の南西方向を望むの獅子山、手前は学校の運動場)     
郊外に向かって、高層マンションが建つ